Vol 3 - 反魂人形

Nombre反魂人形
Muñeca de resurrección
Tamaño24:16
36,7 Mb
VocesYūichi Nakamura (Satoru Gojo)
Kenjirō Tsuda (Nanami Kento)
Mujer
Hombre
Niño

Gojou

七海〜 北海道クイズしようぜ

Nanami

お一人でどぞ

Gojou

はい!第一問僕の一番好きな北海スイーツは一体どの銘菓「三方六」でしょーか

Nanami

クイズになってません

Gojou

じゃあ、じゃがバターゲームしようぜ

よりじゃがバターの好きな方が勝ち

はい!僕の勝ち

僕じゃがバター二本で二番目に好きな男だから

Note: じゃがバター = じゃがいも + バター

Nanami

誰ですか?一番

Gojou

松山千春

Nanami

呼吸より嘘の回数が多いですよね、あなた

Gojou

CO2削減になるだろう?地球温暖化もん丸っと解決

Nanami

私のため息から出るCO2でチャラでしょう

は。。。

はるばる北海道まで出張に来たのに何が悲しくって男二人、呪術師二人

Gojou

いいじゃん〜 バラエティー番組っぽくて

Nanami

どこにあるんですか こな辛気臭いバラエティー

Gojou

札幌の街並みは碁盤の目全部が全部ってわけじゃないんだけどさスポットを巡るルートは組みやすいよねぇ

Nanami

なんですか、その地図

Gojou

オイオイ七海、オイオイオイオイ おい〜

Nanami

いらつきますね、それ

Gojou

しっかりしてくれよー!五条悟スイーツマップ以外に何があるってんだよっ!

Nanami

ですからそういうのはお一人でどうぞ

Gojou

先輩ヅラし甲斐のないやつだな

Nanami

あなたも昔から、慕い甲斐のない先輩でしたよ

ほんとなんで付いてきたんです? 別に二人も呪術師が必要な案件じゃないですよ、今回はまして

Gojou

まして最強呪術師の五条悟が出る幕じゃないだろ?

確かに心配ないと思うよ

単独で調査とはいえ任かされたのがお前ならきっちりこなすだろ

Nanami

だったら、なんできたんです?

Gojou

「多分心配ない案件」を「絶対心配ない案件」にするためだよ

級呪術師が出張るようなことなんだろ?

それもどうやら悪徳な呪詛しか、そのもどき絡みだって聞いてるしね

Nanami

相手も一級か特急に値する呪詛師かもしれないと

Gojou

あくまでだけどね〜

Nanami

そのあやふやな可能性のためにわざわざ出向いてくる人じゃないでしょ、あなた

Gojou

まぁ、今そういうことでいいだろう?案外僕も北へバカンスに行きたくなかっただけかもしれないし

Nanami

そう口に出した時点で本命は違うわけですが

Gojou

お、七海 あれみてあれ

Nanami

人の話を聞いてください

いうだけ無駄でしょけどじゃがバータ

Note: じゃがバター = じゃがいも + バター

Gojou

考えてみりゃ強気がよね、じゃがバター屋台

じゃがいも焼いたやつにバータ乗っけただけの料理潤んだぜ

うちで作っても手間かかんなよ、あれ

Note: じゃがバター = じゃがいも + バター

Nanami

石焼き芋だって似たようなもんでしょ

Gojou

言われてみりゃそうだ

さすが七海

目の付け所がサングラスの奥!

Nanami

ただの眼球の位置でしょ、それ

Gojou

所で七海

じゃがいもの「じゃが」って何?

Nanami

ジャカルタ港から日本に輸入されたため

という説があるとか

Gojou

なんで即答できんの?怖っ

Nanami

ぎゃくになんで知らないんですか

日本で二番目にじゃがバター好きな男が

Gojou

所詮二番目は二番目だよね〜大将!じゃがバター一丁ください!

Nanami

食べるんですか

Gojou

食うよ だって二番目の男だよ、僕

Nanami

仕事しに来たんですけどね

Gojou

じゃあ、お前は食わなきゃいいよ 僕一人で北海道を味わうから!食うんじゃん

Nanami

食べますけど

Gojou

うーん 美味しー!ホクホクだよ!ホクホク!

Nanami

家で焼いてもこうはなりませんよ

Gojou

いやまじ、なめてたわじゃがバター

Nanami

ビールが欲しくなってきますね

やはり仕事の後にすればよかった

Gojou

うーん、ビールか。。。ん、僕としちゃ単品でうまいものを酒と酌み合わせて考えるのよくわからないんだけどな〜

あれ?お前のじゃがバター僕のと違わない?

Nanami

塩からのせたので美味しいですよ、あげませんけど

Gojou

嫌いらねーよ ビジュアルがこないだ破った呪霊に似てるし

Nanami

Gojou

んで、今回調査するのはどんな呪詛師なんだっけ

そもそも呪詛師かどうかも、曖昧だけど

Nanami

あやふやなまま着いてきたんですか

Gojou

対処するのはお前だからね

Nanami

腹に溜まるもの食べた後によくソフトクリームなんか食べられますね

Gojou

いや、お前も食ってんだろ

Nanami

別腹ですから今回の件ですが発端は「黄泉平坂(黄泉比良坂)」と呼ばれているサイトだそうです

Note: 黄泉比良坂

Gojou

すんごいネーミングセンスだな

Nanami

検索エンジンからはたどり着けない

独立したサーバー内に設けられたサイトのようですね

伊地知くんが見つけました

Gojou

あいつは優秀だよ

Nanami

伊地知くんを締め上げて私の行き先を聞いたんですね

Gojou

で、

その悪趣味なサイトはどういう目的で設置されてるわけ?

おもしろ動画が見られるってわけでもないんだろ

Nanami

サイトは簡素なものでしたよ 懐かしくなるくらい

Gojou

キリ番踏んだら報告しなきゃならないかん感じ?

Nanami

そういう雰囲気ですね

Gojou

懐かしさを感じる自分が嫌だな

Nanami

結局のところそのサイトはある呪詛師への窓口のようです

Gojou

窓口?

Nanami

サイト内の入力フォームに依頼内容を書き込んで送信すると現金書留の宛先が表示され商品が購入できるわけです

Gojou

またアナログね

Nanami

住所は零細不動産屋の所有する

道内の某物件に指定されていました

二畳一間のシェアハウスだそうで

Gojou

何をシェアするんだよ

Nanami

郵便受けが20個ありました

簡易的な私書箱として後ろ暗い連中が利用しているようですね

Gojou

手口がヤクザのフロントだな

呪詛師の発想じゃない

Nanami

歴史ある家系の呪術師ならばまずこういうルートの発想がないでしょうね

Gojou

結局、なんの通販なんだ?

はぐれ呪詛師なら、蠅頭程度の呪霊祓う呪具でぼったくったり他人を呪って小遣い稼ぎをしてそんなもんだけどその程度の相手で七海が派遣されやしないだろ?

Nanami

察しのよろしいことで

Gojou

お前が派遣されてるのに僕が詳細を知らされてないなんてお偉方の爺が隠したい案件ってことだろ

Nanami

毎度思うのですけどそれだけ頭が回るなら、自分で調べて欲しいのですが

Gojou

面倒なこと、後輩を使うのが一番手っ取り早いんだよ

Nanami

は。。。死者の蘇生です

Gojou

なんて?

Nanami

そのサイトで販売されているのは死者の魂を呼び戻す新しい器

「反魂人形」と名付けられているそうで

Gojou

またセンスのない冗談が出てきたな

Nanami

十中八九インチキでしょね

ただ

Gojou

いや、 わかったよ

万が一にも事実かもしれないなら、無視できない

Nanami

えぇ

Gojou

それに。。。表向き悠仁は死んだことになってる

僕に知らせたくないわけだ

確実に宿儺の器を葬りたがっている連中としたは

Nanami

ご理解いただけたようで

Gojou

なめられたなもんだな

僕がそんなものは当てにしたがるとでも思ってるのかね

Nanami

1%以下の可能性すらも潰す

だから権力者は権力者として君臨し続けているんじゃないですか

Gojou

100%インチキだろけど

Nanami

でしょうね

そんなことができれば

Gojou

この世界はとっくに終わっているからねぇ

Nanami

もっとも、この怪しい商売の対象はあくまで「赤子の蘇生」に限るようなので本当に可能性などあってないようなものなどですが

Gojou

赤子?なんだってまた

Nanami

そう限定されているんです

そこまで含めて調べるのが私の仕事です

Gojou

うーん〜

で、その人形とやらを売ってる

「人形師」とでも呼ぶかそいつの居所を掴んでるんだろ?

どっち行けばいい

Nanami

もう通り過ぎました

誰かさんが勝手に先を歩いていくので

Gojou

え?僕のせい?

なるほど

地下街ね

Nanami

だいぶ遠回りをしてしまいました

誰かさんのせいで

Gojou

広いし洒落てるねぇ

地下だってのに天窓がある!

Nanami

コンビニも本屋もテラスも図書館窓口も美容師に占い師もいますからこれだけ揃っていれば人形師もいるでしょう

Gojou

つーか、最初から潜ればよかったんじゃない?

Nanami

つぐ潜りたかったんですけどね

人の話も聞かずにじゃがバター食べ始める人がいて

Gojou

まじかー!見つけたら注意しとくよ〜!

Nanami

鏡ならトイレにありますよ

Gojou

にしてもさー

やっぱり洒落てるよ

イベントも開催されてるし

パフォーマーまで

人の活気が地上よりも集まってる

店も雑多だし、なんでもありだ

それだけに、良くないね

Nanami

そうですね

混沌とした

人の念がこの地下街に集約されています

Gojou

おかげで臭い方向はわかりやすいけどね

Nanami

えぇ

見るからに嫌な気配を感じますから

Gojou

もうちょっと、奥かな

街の雰囲気が変わったね

Nanami

先程までは整備された新区画でした

ここらは旧区画に

Gojou

七海

Nanami

えぇ

手がかりでしょうね

mujer

もう、秋人

どうしてわかってくれないの?

Niño

いやだ!お母さん、そんなの持ってかないで!ヤダヤダ!

mujer

お兄ちゃんなんだから、変なわがまま言わないで

おぉ、ほら

また那月が泣いちゃうじゃないの

Niño

お母さん、いやだ!お兄ちゃんなんかじゃない!

mujer

どうしてそんなこと言うの?!あなたの弟なのよ?!可哀想だと思わないの?!

Niño

そんなの弟なんかじゃないの!

mujer

秋人!この。。。

Nanami

落ち着いてください

mujer

ちょ。。。っと

なんなんですか、あなたいきなり入ってきて放してください!親子の問題です!

Nanami

そういうわけにもいきません

あなたご自分がその腕に抱えているものが何か、お分かりですか?

mujer

何?!って。。。

Gojou

んー?

なるほど、人形ね

ぱっと見よくできてんね

いったい何が出てくるのかと思えばそう言うことか

こんなの売りつけて死者蘇生を謳うなんて大したインチキ商売っぷりだよ

mujer

やめてください!夏輝に触らないで!

Gojou

へえ

そんなにそれが大事?

足元で泣き叫んでる子供よりも?

mujer

当たり前でしょう?

この子だって、私がお腹を痛めて

Nanami

購入したのでしょ?

mujer

呪骸

Note: 呪骸

Nanami

ええ

呪いの人形とでも言えばわかりやすいでしょうか

mujer

人形ってだってこの子、こんなに

Nanami

よくできていますよ

普通の人間が見れば本物の赤子と区別がつかないでしょ

mujer

この子は、本物な

Nanami

そうじゃないことは、取引をしたあなたが一番よくわかっているのではないですか

mujer

そんな。。。

Nanami

呪骸をそこまで人間らしく作れる呪術師はそういない

これは推測ですが、あなたはそれを作ってもらうために金銭以外に何かを要求されたのでは

Note: 呪骸

mujer

え?

Nanami

おそらくは

Gojou

蘇らせたい赤子の死骸

Nanami

五条さん。。。

Gojou

赤子に限定するわけだよ

大人の死体は持ち運べないだろからね

見た目は生きているようだけど

そのじつ

プログラム通りに動くペットロボットと変わらないんだよね

それ

mujer

嘘!だって私、ちゃんと聞いたもの!

夏輝が帰ってくるってお金を払ったんだもの

Nanami

親ならばわかるのではないですか

自分の子供の細かな癖

感情を乗せた表情

そう言う生きた魂の気配がその赤子にはないことくらい

mujer

そんなこと

Nanami

それに秋人くんにはわかっているようですよ

自分の母親が得体のしれない何かに心を奪われようとしていることを

Niño

お母さん

mujer

それは

Nanami

真実の形は人それぞれです あなたにとって選びたい真実が「子供を一人も失わなかった今」ならば別にとやかく言う筋合いはありませんが「あなたを心配する子供が生きている今」から目を背けていることは事実でしょ

Gojou

外は日没かな?

Nanami

ええ

結構かかってしまいました

でも、力づくでは意味がありません

自ら手放す決断でなければ

Gojou

呪いを払うよりきついよね

人の未練を払うのは

Nanami

荷物持ちゃありがとうございます

Gojou

お前がさせたんでしょ

にしてもこの呪骸

手提げカバンに入れるにはちょっと重いよ

Note: 呪骸

Nanami

適当に捨てていくわけにもいかないでしょ

それに大事な手がかりですからその人形に込められた呪力と見比べれば微かな残影だけでも大元を辿れますし

Gojou

まぁね

こいつ売った人形師も一応

痕跡を隠しつもりはあったようだけどやっぱもぐりだろ

雑にも程がある

Nanami

ええ

全く

Gojou

とか言ってる間にここか

Nanami

古い雑居ビルですか

居酒屋のテナント?

とっくに潰れているようですが

Gojou

ここ真っ当な商売には向かないでしょ

胡散臭い商売の根城にはうってつけだ

人目につかないように術式もかかっているようだし

Nanami

隠せていませんが

Gojou

呪術師の人材不足を実感するよ

こんな三流が堂々と拠点まで構えてるのにのばなしだったとはね

Nanami

呪霊の強さは都心になるほど強い

当然呪術師もそこに集まる

地方へ向ける目は鈍くなりがちですから

Gojou

まぁ、この程度の悪徳呪詛師

おっといても大した問題はないんだけどね

Nanami

しかし、ああいう被害を出すようになってしまっては

Gojou

流石に。。。つぶしておかないとね

Hombre

な、なんだ、貴様ら!

Gojou

客に見えるなら眼科行けよ、三下

Nanami

呪術師ですよ、真っ当な

Gojou

お前みたいなのと違ってね

Hombre

呪術師?そ、そ、そうか

き、貴様ら

貴様らも呪術師か!

Nanami

下手な抵抗はしないでくださいね

力加減をするのも疲れるので

Hombre

た、たた、助けてくれー!

Nanami

は?

Hombre

よか、よかった

こっちから探しにいきたいところだったんだ!本物の呪術師!た、助けて!金から貯めた!だから、だから!

Gojou

七海

Nanami

ええ

あなた、呪術なんて使えないでしょう

戯れに人々を呪っていたかと思いきや

呪われている側だったようで

Gojou

見てよ、体がすごいことんなってる

Nanami

ええ

人体と人形の癒着

いや、人形が人の体を食っている

Hombre

たすけ、かすけっ!金が、金、金ならあるから祓ってくれぇ!

Gojou

腹んところ、虫がわいてる

Nanami

呪骸の群れですね

Note: 呪骸

Gojou

人形師の体と手に入れた赤子の死体

肉を食って増え続けてるんだ

Nanami

呪骸の生産工場を兼ねる自己増殖する呪骸ですか

Note: 呪骸

Hombre

いた、いた、痛い!こいつが、こいつがこいつが!

Nanami

死体を使ったとはいえ

こんな男がどうやってあの精巧な呪骸を仕上げたのか

というのは疑問でしたが

Gojou

大方、

古い呪術師の家系の成れの果てが蔵の底から掘り出した呪具

え、もとい。。。

暴走呪物ってとこだろ

Nanami

商売としては最初は純粋な金儲けだったのでしょが

Gojou

死体どころか聖者も貪る代物だ

赤子の死体じゃ飽き足らず

人形師本人の体までもね

悠長に構えてちゃいられないでしょ

Nanami

そうですね

Hombre

た、たす、助けてくれ、くれるんじゃ

Gojou

嫌、無理 わかるでしょ、自分で

Nanami

万一、家入さんなら切除できたかのしれませんが

Hombre

ま、待て

なんだ、それは

Nanami

7:3

私の術式は対象を線分した時

7:3の比率の点に強制的に弱点を作り出します

それは生物と非生物とに関わらずです

Hombre

何を、いって

Nanami

その姿は気の毒ですが発端としてあなたが危険な呪術で金儲けを行ったことは明白です

Hombre

お、おい、冗談だろ

わ、私は人間だぞ

に、人間を。。。

Nanami

その体はもはや手遅れですし

Hombre

ヤダ、ヤダヤダヤダ!私は、死者を蘇らせて!救ってやった!人の心を、救ってやったんだ!なのに!こんな。。。こ、こ。。。

Nanami

既に言語も自意識も危うい

何より

他者への呪いを振りまいてしまったあなたは既に呪いそのものですから

Hombre

こ、殺してある

Nanami

大人ならば責任を負いなさい

Gojou

お疲れ、七海

Nanami

あなたがやってくれた方が楽だったのですけどね

Gojou

お前の術式の方が向いてるよ

人体と人形

お前が綺麗に切り離したおかげで

やつは人間として死ねた

Nanami

いいように言っているだけでは?

Gojou

後は他に任せよー

流石に死体の処理は手に余る

Nanami

今回何もしてないでしょうが、あなた

はぁー

Gojou

医者の不養生

みたいだよね

Nanami

人形師のことですか

Gojou

呪術師全体ことだよ

呪いへの対処ってのは

気の晴れない仕事も多くなら

自分自身が呪いを溜め込む危険性ですか

慣ればしても気持ちよくはないよね

酔いたくもなる

Note: 気の晴れない

Nanami

あなたノンアルでしょ?

Gojou

僕は今回何もしたないから酔わなくていいんだよ

Nanami

堂々と言わないでください

Gojou

七海はさ

割と情に厚いよね

Nanami

なんですか、急に

Gojou

割り切れるけど、平気ってわけじゃないだろ

そういうところで生まれた摩擦って大人なら多少は処理する手段があるよねー

それこそ酒は心の特効薬だ

Nanami

あまり面白くない話ですけど、 続きますか?

Gojou

別にからかってんじゃないって呪いを生むのが人である以上

僕が受け持つ生徒たちもいつかはクソみたいな人間の悪意と向き合う時がくる

Nanami

呪術師ですからね

Gojou

僕らみたいなのはそうやって心に回った毒を吐き出す手段を知ってる

でも多感な時期の若人は別だ

一度のどくが心を壊すこともある

Nanami

子供に残った毒を処理してやるのは大人の役目でしょ

教職であるあなたの方が存じているのでは

Gojou

わかってるよ

だからお前と話をしに来たんだ

マスター、シンデレラふたつ

Note: シンデレラ

Nanami

冗談でしょ

Gojou

たまにはギムレット以外の酒もいいだろ

Nanami

シンデレラはノンアルでしょ

Gojou

一度ね

お前に預けてみたい子がいるんだよ

虎杖悠仁、知ってるだろ?

Nanami

なくなったと聞いていましたが

Gojou

呪いの王を宿してるんだ

「死者を蘇らせる人形」なんてインチキとはわけが違うんだよ

Nanami

宿儺の器に足してあなたがどのような思惑を持っているのかは知りませんが

Gojou

宿儺の器じゃない

悪魔で虎杖悠仁という一個人についての話だよ

これは

Nanami

それを切り離して話すことが許されるほど

彼は気楽な身の上ではないはずですが

Gojou

悠仁はさ

まっすぐな子なんだよね

覚悟も度胸もある

戦いに必要な思い切りも

それでも

まっすぐすぎるところはある

そういう子は

一度でも心折れた時が心配なんだ

Nanami

それを私に話してどうしろと?

Gojou

これでも僕が多忙でね

精神的な成長のケアまでは手が回るとは言えない

だから一度

お前に預けたいんだ

人の痛みがわかる

お前みたいな大人にね

Nanami

そんな甘ったるいことをいうためにわざわざ北海道まで?

Gojou

僕が甘党なの知ってるだろ

Nanami

私は苦手ですけどね

Gojou

うまいだろ?

Nanami

はぁ。。。